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[コメント] プロメテウス(2012/米)

あの作品の前日譚であることが知れ渡ってから見ただけでなく、『コヴェナント』のほうを先に見ているという、どうしようもない鑑賞順で見た限りでは面白かった。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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エイリアン』で出てきた謎の馬蹄型の宇宙船と巨人のビジュアルは、おそらく当初からそれに付加する本作のような物語があったのではなく、本作の制作にあたって後から意味付けをしたものだろう。意味のなかったイメージに後から意味を仕込んでいくというような作劇の技法を何というのか知らないのだけど、「あれってこういう物語があったのね〜」というのが解明される、悪く言えば「辻褄合わせ」あるいは「でっちあげ」がなかなか良くてワクワクした。これはひとえに『エイリアン』制作時のギーガーのイメージが豊潤で、もともと確固とした世界観があり、想像をあれこれ掻き立てるものを持っていたからで、今回の監督や脚本家のテクニックのお蔭ではあまりないと思う。

あまり詳しくないけれど、エイリアンのモチーフは、ペニス(エイリアンの頭)だったり小陰唇(フェイスハガー)だったり、内臓への管(くだ)状の挿入、チェストバスター、粘液などなど、生殖や繁殖の呪いに満ちている。なので、今回のヒロインのセックスして孕んで堕胎してそのあとピンピンしているというタフさは、もう生物としての母体の怖さでしかなかった。エイリアンシリーズで母の強さが持ち込まれたのは『エイリアン2』のキャメロン監督の嗜好やシガニー・ウィーバーのプロデュース参加からで、『エイリアン』では最後に残るのがたまたま女性一人だという以外あまりなかった要素だったと思うけど、こうやって元祖の監督に逆に継承されていったっていう感じが個人的には面白かった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] DSCH[*]

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