着々と作戦を進めるクムジャさんの合い間合い間で、彼女の悲惨な過去が紹介されるんだけど、結局は「現時点」では常に優位に立っているので、あまり「頑張れ〜」とは思わなかった。やはり復讐ものは逆転劇の面白さなんだから、中盤以降の、さあこれから反撃だ！っていうところを先に観て、実は前半は負けてたんですよっていうのは、構造的に面白さを削ぐような気がするんだけど、みなさんのコメントを読んでいると、そういう意見はほとんどなかったので、これは私の見方が「復讐カタルシス寄り」だからなのかなぁ、と思った。

クムジャさんのアドバンテージは、「理解ある協力者たち（とりわけ執事のように振る舞う刑事）」、「敵方の絶対悪」、それとなんといっても「美人」なこと。絶対優勢な形成での復讐劇は燃えないよなぁ。要は、本作はどなたかが書かれていたように「贖罪」をテーマにしたもので、たぶん復讐にカタルシスを求めるのが筋違いなのかも。3部作の中で実は最も復讐を否定的というか俯瞰的に詠嘆をこめて描いているし、被害者家族たちの決意の描き方も批判的ではないけど、冷徹に描いているような気がする。深みがあると思う。

3部作でいうと私は断トツで『オールド・ボーイ』派で、これは時系列で話が進行する徒手空拳な状態からの主人公のリベンジなので、きっとそういうことなのかも知れない。