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[コメント] リンダ リンダ リンダ(2005/日)

私は高校の頃、漠然と「いま何かをしなければいけない」というか「何かしておかなければいけない」と妙に焦ったりしつつも、日々ずるずる暮らすことも楽しんでいたように思う。文化祭を軸とした彼女達の数日にそれを見た。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







そんなどうってことのない物語が最後まで持続するのは、かすかに感じられる彼女達の焦りと苛立ちが話を引っ張っていったからのように思う。

10代の今しかできないことをやらないで後悔したくない、とは思うけど、さほど切迫感もない。社会に出るだとか、現実的に将来のことを考えるだとか、「区切りの時」はまだまだ先のことのように思うからだ。

できのよい大人がよく言うような「はっきりとした目標をたてる」というのは好まない。だって何をしたくなるか、したいと思うようになるかなんてわからないのに、目標にだけ邁進して他のことに目も向けない、なんて生き方はありえない。

文化祭のライブに向けて、彼女達のそれに取り組む姿勢というか、位置付けの感じの、そこそこ感がとても本物らしくてよかった。強制力のない中で、それでもライブを成功させたいという思いだけは間違いなくあるから、一人一人思いに差はあっても、なんとかかんとかそっちへ向かって進んでいく。明確な目標はないけど、納得のいく演奏ができたか、できないか、っていうことはわかるから、(目標のようなものを)達成できたかできないかっていうのはわかるのだ。1曲目が終わって、それができたという感触を得たときの彼女達の笑顔は素晴らしい。別に上手な演奏でもなんでもないのだろうが、今できる精一杯をぶつけることができた、というすがすがしさが彼女達にはあって、それは、どうにかこうにか漠とした目標に向けて進んでこられたという証でもあるということを彼女達自身が納得できた結果であろう。

それにしても、この作品のソンさんこと、ペドゥナのキャラクターは面白くて大好きだ。バンドも映画も途中で分解せずに済んだのは、その言動、表情、雰囲気でムードメーカーの役割を果たした彼女の存在によるところが大きい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)林田乃丞[*] ぽんしゅう[*]

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