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[コメント] 乱(1985/日)

毎度のことだが、演出とはこういうものだと、教えてもらった。特筆すべきは カラー映画がカラー映画であることの必然性。
ちわわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







リア王とマクベスを基に、緊迫感に満ちたドラマが形成されている。

この映画でも、演出上のテクニックはものすごい。 たとえば、楓の方原田美枝子のまえに置かれた狐の首は、ハムレットの 墓堀の場面を思わせる。昔の道化師のしゃれこうべとハムレット自身の 顔が向き合うことで、ハムレット自身の運命が語られる。

ここでは二つの顔が画面上並行に並ぶ。人をだます狐と女の顔が 並びあっといわせる緊迫感がかもし出される。 もちろん彼女の死も暗示されているわけだが。

兄弟が、一郎、次郎、三郎で、旗も一、二、三であるのももちろん余計な 説明を省くためだが、この幡の色も区別され、合戦場面がよく理解される。 父と長男と次男が入り乱れて殺しあう中間部は、旗の動きを見るだけで そのドラマ性が理解される。

もちろんこれは一部に過ぎない。とにかく、こういった演出面を追いかけていくこと がこの映画では重要である。仲代をはじめ役者たちの好演はこの演出の一部に過ぎない。するとこの映画、まったく長いとは感じない。

ピーター演ずる狂阿弥は、リア王の道化を戦国の時宗の徒として再現したもの。 これもまぁ工夫やね。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

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