客観的に見れば、あのトム様が死んじゃうわけないんです。白目剥いて、頭から煙が出るような結果になるわけないでしょ。

でも、鑑賞中は妙に尻がむずかゆい。映画館のイスの肘掛を強く握ってしまう。それは、ハイテンションのまま続くアクションに身がすくんでいる訳でもない。そこには何かを予感させる"場"がある。絶対にありえないトム様の敗北が見えてしまいそうに思える空気感がある。

アクション映画って、アクション自体の質も大切だけで、"場"の作り方（= 演出）こそが最も重要。客観的には主人公は死なないわけだが、もしかすると…と観客が思ってしまう空気を如何に作るかが大事。そんな意味では、本作のテンカウントとか、『エグゼクティブ　デシジョン』でのある方のご退場など、うまく"場"を作っている。逆に『宇宙戦争』は、本作とは比較にならないくらい絶望的な状況なのに、"場"に切迫感はなかった。レーザー光線は、トム様を避けているにしか見えなかった。

ちなみに、私はトム様ファンでも何でもありません。