[コメント] キートンの探偵学入門(1924/米)
奇怪な言葉かもしれないが、「星の数ほどある映画の中で<映画>を一本選べ」と言われたら、僕は迷わずこの作品を選ぶ。
括弧付きの映画、それは「男の中の<男>」と似たような概念の<映画>。
「これぞ映画!」とでも言おうか。
「機関車でも何でもいいけど、玩具がひとつあればいい。大抵のものはすぐに笑いの種にすることができる」と言ったキートン。
そんなキートンに、機関車のみならず、紙、ゴミ、一ドル札、財布、指輪、ルーペ、バナナ、懐中時計、帽子、貯水タンク、ビリヤード、椅子、梯子、回転扉、ロープ、自転車、車…これだけ与えればドエライことになるのは言わずもがな。
いや、それだけにとどまらない。「映画」、「夢」、そして「人生」までも。
キートンの魔法の手にかかれば、この世のすべてが、愛すべき<玩具>に、そして<笑いの種>に、そして、僕たちの人生にとっては<エッセンス>と<スパイス>に変わる。
そういう意味で、この映画は、まさに映画の中の映画。僕が映画の中に探すほとんどすべてのものがこの50分に凝縮されている。
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追記というか余談:劇中の本『探偵学入門』の、キートンが手本にするルールで判読できたのは7つありました。
「探偵になるには」
ルール1 全員を疑え
ルール2 手がかりを探せ
ルール3 窓を全部調べろ
ルール4 指紋を探せ
ルール5 容疑者を尾行しろ
ルール6 警察を呼んでもらえ
ルール7 冷静を保て
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追記というか余談というかお節介:これこそ映画館で観るべき映画ですが、一度、ビデオで早送りで見ることをお薦めします。
特に中盤以降の夢の中での「運動と流れ」の美しさに改めて驚かされることでしょう。
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