[コメント] ベティ・サイズモア(2000/米)
極上の三題噺。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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アラを探すつもりで見れば、かなり細かな矛盾もあるのだろう。
だが、パッとしないけど誠実で夢見がちなどこにでもいる(?)主婦が、夢見た世界を実現するシンデレラ・ストーリーとして観れば、実によく出来たおとぎ話ということになる。一つ一つのエピソードに含まれる小さな嘘が、積み重ねられていくことによって、ものすごく大きな嘘になってしまう。でも、それぞれのエピソードの間にはたいした矛盾もないために、出来あがった大きな嘘が、なんだか真実味を帯びてみえる。それをファンタジーと呼ぶのなら、これほど見事な出来はない。
その実現された夢=「大きな嘘」が、TV業界で働くことだというのは、極めて痛烈な皮肉である。もしそれを「映画業界」とすることが出来たら、これまた絶妙な自己風刺作品となり得ていたろう。
ただ、「一人で生きていけること」はとっても重要なことであるけれど、それだけではちょっと悲しいので、ラストにラブ・アフェアーを予感させるものが少しでもあれば、もっと良かったのにな。冒頭のベティと同じ動きをするあのローマのカフェのウェイターが、もう少し若くて青年ぽさがあって、ベティとの絡みがちょっとでもあれば・・・。
かの国に三題噺なんてものがあるかどうか知らないが、お題は「カンザス・シティ」、「ドリス・デイ(あるいはケセラセラ)」、「ローマの休日」って感じでしょうか。
80/100(02/02/23記)
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