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[コメント] ベティ・サイズモア(2000/米)

極上の三題噺。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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アラを探すつもりで見れば、かなり細かな矛盾もあるのだろう。

だが、パッとしないけど誠実で夢見がちなどこにでもいる(?)主婦が、夢見た世界を実現するシンデレラ・ストーリーとして観れば、実によく出来たおとぎ話ということになる。一つ一つのエピソードに含まれる小さな嘘が、積み重ねられていくことによって、ものすごく大きな嘘になってしまう。でも、それぞれのエピソードの間にはたいした矛盾もないために、出来あがった大きな嘘が、なんだか真実味を帯びてみえる。それをファンタジーと呼ぶのなら、これほど見事な出来はない。

その実現された夢=「大きな嘘」が、TV業界で働くことだというのは、極めて痛烈な皮肉である。もしそれを「映画業界」とすることが出来たら、これまた絶妙な自己風刺作品となり得ていたろう。

ただ、「一人で生きていけること」はとっても重要なことであるけれど、それだけではちょっと悲しいので、ラストにラブ・アフェアーを予感させるものが少しでもあれば、もっと良かったのにな。冒頭のベティと同じ動きをするあのローマのカフェのウェイターが、もう少し若くて青年ぽさがあって、ベティとの絡みがちょっとでもあれば・・・。

かの国に三題噺なんてものがあるかどうか知らないが、お題は「カンザス・シティ」、「ドリス・デイ(あるいはケセラセラ)」、「ローマの休日」って感じでしょうか。

80/100(02/02/23記)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] tredair

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