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[コメント] 会議は踊る(1931/独)

華やかな映像とのびやかな音楽に乗せ、乙女の恋心を切なく描いた夢のような映画。
G31

「次はいつ会おう」「明日。明日よアレクサンダー」

  ***

 言い訳から。十代で初めてこの映画を観たときの評価は★2つ。3年後の今年(ウルサイ)久々に観直してみて驚いた。実は、ロシア皇帝に振られて気が触れたウィーン小町が、踊りながら街中を練り歩くお話だと記憶していた(ヒドすぎ)。主演のリリー・ハーベイも、実年齢は40〜50なのに無理して小娘を演じる気味の悪い女優さんだとばかり。どこでどう取り違えたのか? まだ映画を熱心に観始める前で、しかも語学の授業の教材として見せられたものだから・・・。

 (コホン)19世紀のウィーン会議に舞台を借りた、女性の切ない恋心を描いた佳作。すべてが可愛らしいと呼ぶにふさわしい。映像も音楽も主演の女優も他の役者陣も物語りも。ロシア皇帝アレクサンダー(=ヴィリー・フリッチュ、薄ら禿の影武者との演じ分けも見事)のプレイボーイぶりがまたいい。女性に対する接し方のソフトさというか純粋さというか、礼儀正しさと親密さのバランスのとり方みたいなものも(参考になります)。これなら確かに会議なんて無粋なものはメッテルニッヒ(コンラート・ファイト)みたいな陰気な野郎に任しときゃいいやて気になりますわな。いや、それじゃまずいんだけど・・・。

 しかし、ウィーンが舞台なのにオーストリア映画ではなくてドイツ映画なんだなあ。1931年といえば満州事変が起き、日中戦争が始まった年。ハプスブルク帝国以後ナチスドイツ併合前のオーストリア(共和国だったはず)って、どんな国だったんだろう? ウィーンの街自体がなにか、束の間の夢に浮かれたおとぎの国みたいに見える・・・

80/100(04/10/04記)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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