「人生いたるところに青山あり」なんて言葉が軽く口をついて出てくるあたり、Ｃ調、軽薄、無責任などと言ってても、さすが今の時代とは違って重みがある。

私自身、学校出てからＸ年のしがないサラリーマンですが、組織の中で出世するのに責任感や仕事の能力なんて全然関係ないと感じる。ただ、上の人間には可愛がられないとダメだね。それか、組織を離れても通用する実力を身につけるか、のどちらかだ。コツコツ努力するのもイヤ、上司におべんちゃらもイヤ、ではどうにもならない。

そういう意味で平均（植木等）のキャラクターは、凡百のサラリーマンが逆立ちしても及ばない、優れた観察眼と判断力を備えており、出世してもなんの不思議もない。目標達成のためには涙ぐましい努力もすれば、細やかな気配りもしてみせる。そうでなくて、単に怠惰でズボラなキャラクターでは映画が成立しないからね。逆に当時のサラリーマン諸兄がこのキャラクターをほんとに支持してたのかどうか疑問だ。そんな堅苦しく考える映画でなくて、単にヒット曲とドタバタを楽しむためのもの、ってことなんだろうけどさ。

いずれにしても、こんな奴らが年寄りになって、いま我々がこいつらの年金を負担してるのかと思うと、ちょっと腹立ってくるわな。

70点／100点（2000／11／27記）