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[コメント] 男はつらいよ 純情篇(1971/日)

寅のテキ屋としての仁義が長々と聞けるのは1作目と本作ぐらいではないか(啖呵売ならどの作でも聞けるが)。それを引き出した若尾文子さんはやはり名マドンナと思う。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 旅先の寅はいつも一人前。当時は商売がうまくいってたのか、お金も結構持ってたみたい。だからこそやせ我慢ではないストイックな“カッコいい”が成立する。「灯りを消して」と衣服を脱ぎかける宮本信子への態度なんか立派すぎるくらいだ。

 故郷・柴又に戻ると立ち所に半人前と化す。おばちゃんの遠縁の夕子さん(若尾)に出会うと、瞬時に惚れてしまう(馬鹿だねえ)。夕子さんがとらやの風呂に入ると、「ニキビ面の中学生」みたいな妄想に身をよじる(あー嫌だ)。ハンチクな失態を重ね、逃げ出すように去る羽目になる。寅にとって故郷とは、安心して半人前に戻れる場所、といったところだろうが、それでもいたたまれなくなるという―。

柴又駅ホームでのさくらとのお別れシーン:

桜「あのね、お兄ちゃん。辛い事があったら、いつでも帰っておいでね」

寅「そのこだけどよ、そんな考えだから、俺はいつまでも一人前に・・・。故郷って奴はよ」

桜「うん?」

寅「故郷って奴はよ・・・」

(電車の扉が閉まる)

桜「うん? なに、なんて言ったの」

(電車遠ざかる)

  ■  ■  ■

 独立資金80万円を父に無心する博。あてにしたのは父の退職金。この頃、ヒョウ一郎は北海道大学を退官し、故郷の高梁に戻ったという設定なのだな。

19/11/24記

(評価:★4)

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