[コメント] 男はつらいよ 純情篇(1971/日)
寅のテキ屋としての仁義が長々と聞けるのは1作目と本作ぐらいではないか(啖呵売ならどの作でも聞けるが)。それを引き出した若尾文子さんはやはり名マドンナと思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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旅先の寅はいつも一人前。当時は商売がうまくいってたのか、お金も結構持ってたみたい。だからこそやせ我慢ではないストイックな“カッコいい”が成立する。「灯りを消して」と衣服を脱ぎかける宮本信子への態度なんか立派すぎるくらいだ。
故郷・柴又に戻ると立ち所に半人前と化す。おばちゃんの遠縁の夕子さん(若尾)に出会うと、瞬時に惚れてしまう(馬鹿だねえ)。夕子さんがとらやの風呂に入ると、「ニキビ面の中学生」みたいな妄想に身をよじる(あー嫌だ)。ハンチクな失態を重ね、逃げ出すように去る羽目になる。寅にとって故郷とは、安心して半人前に戻れる場所、といったところだろうが、それでもいたたまれなくなるという―。
柴又駅ホームでのさくらとのお別れシーン:
桜「あのね、お兄ちゃん。辛い事があったら、いつでも帰っておいでね」
寅「そのこだけどよ、そんな考えだから、俺はいつまでも一人前に・・・。故郷って奴はよ」
桜「うん?」
寅「故郷って奴はよ・・・」
(電車の扉が閉まる)
桜「うん? なに、なんて言ったの」
(電車遠ざかる)
■ ■ ■
独立資金80万円を父に無心する博。あてにしたのは父の退職金。この頃、ヒョウ一郎は北海道大学を退官し、故郷の高梁に戻ったという設定なのだな。
19/11/24記
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