コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 13日の金曜日(1980/米)

筋が通るというか、必要以上に理不尽でないストーリー構成とキャラクター。これがシーケルの原点か。唸りました。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ちゃんと観たの初めて。と言うか、観たの初めて。「13金」と言えばジェイソン、ジェイソンと言えばホッケーのマスクにチェーンソー(**)。そんなイメージしかない僕には衝撃的な作品でした。90年代以降のホラーでは当たり前の存在となった超理不尽な何者か。殺しても殺しても(死んだはずなのに)死ななかったり、どんな場所にもあまねく存在できたり。成仏し損ねた霊魂なのかはたまた世の闇に紛れて生きる妖怪か。少なくともただの(=超人的な体力・回復力と超緻密な作戦立案・遂行能力を持つ)変質者ではない。一体なんなんだよという、その元祖と言うか象徴みたいなイメージだったのです。それがこんな、一定の筋の通った、ちゃんとした「復讐者」の、そのお話だったなんて(もちろんその手の萌芽はありました。なんでお前、女なんだよ、みたいな。ブレンダの死体を窓から室内に放り込んでたし、スティーブの死体を木?に吊り下げてた。ジャック=ケヴィン・ベーコンの顔をベッドの下から手を伸ばして押さえ込んでたけど、あの腕、男の腕だったよな)。80年の最初の被害者は首を掻き切られるシーンをきっちり描きながら、次の被害者は殺されるシーンも省かれる。かと思えばトイレで殺された女性は額にズカッと斧がかち刺さる。単にヒョエ〜ッ!ギエーッ!血糊ドバッ!ではない描き方の工夫というか定石を踏まえた感ある展開の工夫に感心させられました。これだけの映画だったから、次々に続編が撮られたのですね。映画史の勉強をさせてもらった気分です。得しました。面白かったです。

80/100(21/2/15見)

*皆さんのコメントを読んでもいろいろな示唆をいただきました。感謝です。80年の映画ですが、冒頭に描かれる50年代末の若者=湖畔のキャンプ地の監視員という設定が特殊なのかどうか不明ですが=にも「奔放な性」はあったのだとされています。ジェイソンは、彼らが乳繰り合っていたために、溺れかかり叫ぶのを見過ごされ、死んでしまった。だから母親は、乳繰り合う監視員が許せない(彼女に殺された若者たちは皆、非番でしたが)。そんなキャンプ場が(22年も経っているのに)再開されることを許せない。しかしラルフ(=自転車のおっさん。不吉なことを言うのが好き)って何なのか。だだの迷彩か。町の不吉な過去を背負った存在。まあ、節制は、様々な身の危険から自分を護ることができるという主張。『堕ちた女』(TVM)で不幸にもエイズに罹った主人公・アリ(モリー・リングウォルド)の台詞を思い出しました。「快楽を求めること自体は悪ではないが、できれば禁欲が望ましい」。

**ジェイソンはチェーンソーというイメージは間違いなんだそうだ。う〜む。奥が深い(←違う)。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。