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[コメント] レッド・スパロー(2018/米)

思いがけず重厚な映画。誰の力も恃まず、自力で道を切り開くしかない状況に適応していくスパイの、脆さや儚さみたいな部分まで、ジェニファー・ローレンスが熱演。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 『ニキータ』とか『ソルト』みたいな単純痛快スパイ・アクションを期待して観に行きましたが、予想外の遅々とした展開。タイトルにある“スパロー”が、ロシアの特殊スパイ養成所のことと分かり、そこへ主人公が半強制的に連れて行かれるので(しかも“教官”が如何にもなシャーロット・ランプリング)、なんだスパイの養成課程がコマコマと描かれる作品かと、ゲンナリし始めたところでした。

 したら、あっさり引き抜かれて実地任務を与えられる(叔父さん暗躍)。この辺りからオヤオヤと関心がわき出しましたが、伏線はすでに張り巡らされた後の祭り。話は入り組んでいるし、弱冠唐突すぎる展開もあったりして、ついていくのが大変でした。いや、よく分かってない部分もあると思います。でも、「相手の気持ちを読み取り、一歩先回りする」心理的な駆け引きなどが、微妙に、でも分かるようには描かれていて、物語世界にグイグイ引き込まれていきました。

 そう言えば、オバマの頃にも、アメリカでスパイを働いて捕まり、ロシアに帰国して英雄に祭り上げられた女諜報員がいたよなと。彼女ももしやと考えることは可能かもしれんと。欧州情勢は複雑怪奇と言った昔の日本の政治家じゃないですが、物事には、どんな場合でも多面的で重層的な見方がありうるのだと映画から教わった気がします。

85/100(18/04/01見)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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