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[コメント] ジェーン・ドウの解剖(2016/英)

久しく見ない類の真面目ホラー。恐れずに言えば(ホラーだから恐れていいのだが)、製作陣は観客に植え込んだ期待の、制御をしくじった。お久し感に★1増。
G31

**ネタバレ注意**
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 解剖シーンが案外面白い。ここを切ったら何かがデーン!と出てくんじゃないかという、怖いもの見たさというか『黒ひげ危機一発』(←お調べを)的なスリルが当然まずある。もちろん、すぐに「何か」が飛び出す訳ないのは通俗的なホラー映画と同じ。だが「何も起きない」が続けば、映画の場合、どうしても白ける。通俗ホラーでは折々に小規模なデーン!を繰り返すことでしのいでいく訳だ。本作は、そんな安易な手法に頼らない。代わりに、ちょっとした異変というか痕跡が発見され、それが新たな謎を呼ぶという構成を重ねる。したがって、解剖は割りと真面目にズンズン進んでいく。だが、謎もどんどん膨らんでいくのだ。これがハマる。ジェーン・ドゥの目と口の開いた死に顔がところどころアップで差し挟まれるのも不気味さを煽る。

 全編これでも良かったぐらいなのだが(そうもいかんか)、恐れずに言えば(いやホラー映画なんだから恐れていいのだが)、製作サイドも同じ魅力にハマったのだ。結局のところ、謎を膨らませ過ぎてしまった。作中で回収しきれていない。通俗ホラーの安易手法に、最後までまったく頼らない、という訳でもないため、全体的に残年感がある。特に、「彼女(ジェーン・ドゥ)の身に本当は何が起きたのかを解明する」と意気込んで解剖部屋に舞い戻った親子が、結果としては、彼女は本物の魔女だったと身をもって解明した訳だが、やっぱ解剖による解明を期待しちゃった。

 いいとこ75点作品だが、久々にホラー映画で怖い思いしたので、おまけ5点アップ。

80/100(18/01/08記)

(評価:★4)

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