[コメント] それでも夜は明ける(2013/米)
鞭で打たれる身体的な痛みが被差別の苦悩ではないはずだ。人間としての尊厳を奪われることそのもの。そしてその復権・回復をこそ描いてほしい。
人種差別をする人間を徹底的に醜いものと描く、その執念が気持ち悪い。
差別する醜いあいつらと、差別しない清らかな僕たち(映画にはブラピ以外出てこないが)、という描き方。以前のハリウッド映画では、一見、差別なんかしないように見えるリベラルな人たちにも、心の奥深くには差別する心があって、それがひょんなことから表れてしまう、と描かれていた。だからこそ、観る側も差別の問題を自分たちの問題として受け止められたのだと思う。
本作のような描き方なら、確かに最後まで気楽に観られるだろう。しかし、本作なんかに賞が与えられるとは、世の中全体がずいぶんと幼児化してしまったものだ。まあ、ハリウッドにとって人種差別問題はいまだタブーだというから、本作に賞の与えられること自体がタブー度合いを表しているのかもしれない。
建設的に言うなら、鞭で打たれる身体的な痛みが被差別の苦悩ではないはずだ。人間としての尊厳を奪われることそのもの。そしてその復権・回復に焦点をあてて描いてほしいものだ。
60/100(14/06/07初見)
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