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[コメント] 東京オリンピック(1965/日)

事前取材で固めた筋書きから踏み出せない現在のスポーツドキュメンタリーと比べると、ある種、無頓着の爽快さを感じることは確か。
G31

 東京オリンピックの生の瞬間が記録された、という意味において記録映画ではある。だが、辞書でも引くようなつもりで「東京オリンピックってなんだったんだろう?」と思ってこの映画を観ても、ちっとも答えは得られない。確実に言えるのは、そういう問いに答えることを目的に作られた映画ではないってことだ。これがJOC公認の「公式オリンピック記録映画」であることは、ちょっと驚きである。

 また、カメラ移動や構図の取り方が未熟で、アスリートの激しい動きがきちんとフレームに収められていない。決定的瞬間が画面外だったりするので、観てるとフラストレーションがたまる。

 さらに、色合いももっとコントラストを鋭敏にしたほうが、空の青さも、木々の緑も、屋根瓦の黒も映えたのに、と思う。全体的に白ぼけていて、くっきり感に欠ける。面白いのは、ボクシングだけ唐突に白黒で撮られる(理由不明)のだが、これはコントラストが実に明瞭。こういうのを観ると、単にカラーで撮る技術が未熟だったのか?と思わないでもない。

 肉迫、という言葉があるが、まさに「肉に迫る」ことを目的にした映画。その結果、アスリートの情にまで届いていれば評価できるが、そこまでは。結局アベベかよ、って感じ。

 ただ、2時間50分を長いと感じずに観れたのも事実。

75/100(04/09/04見)

(評価:★3)

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