[コメント] バルカン超特急(1938/英)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
この映画で面白いと思える点は、なぜフロイ婦人は消えてしまったのか、ではなく、なぜみんなが「フロイ婦人は消えてしまった」と嘘をつくのか、であった。この点が物語の中核をなすことは、実に正直に映画の中で言及されていた。まさに英国人の美点は”正直なこと”なのだ。
厳密な言い方をすると、「なぜみんなは『フロイ婦人が消えてしまった』という嘘を受け入れたのか」。嘘をついた人々は、大きく分けて4つのグループ。1つ目のグループは、フロイ婦人を英国のスパイと見抜き、彼女の身柄を確保せんとした敵国(ドイツ?)の捜査当局。彼らがなぜ「婦人の姿を消す」という形で身柄を確保しようとしたのかはわからないけれど、彼らが嘘をつかなかったら、映画が存在しないことになるから、これは映画という虚構が許す”大きな嘘”だ。
2つ目は、不倫旅行中のお忍びカップル。彼らが嘘を受け入れたのは、事が大きくなって、二人の旅行が露見してしまうのを恐れたから。理由としてはありきたり、な感じはするけれど、ここで初めて映画の意図が観客に明らかにされるので、面白い面白くない以前に、鮮やかだった。
3つ目は、クリケットの試合に間に合わせるため、旅を急ぐ英国人男性二人組。問題が起こって列車が足止めでも食らった日には、間に合わなくなるから。微妙だけど、このノン・シャランさはちょっと面白いかな。
最後の4つ目は、グループではなく個人だが、イタリア人(?)奇術師。彼は金で転んだ。これは明瞭にくだらない。
この4つに私が白黒つけたところでは、まあ、2勝2敗ってとこ。
で、冒頭記したようにもう1回聞くんだけど、この映画のどこが面白いの?
70/100(04/11/05見)
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