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[コメント] テラビシアにかける橋(2007/米)

少年少女の頃に、とても大切なものを失った、そういう体験のある方向けの作品ではないだろうか。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 確かにいい映画でした。ここ数年、いろいろなタイプのファンタジー映画を見てきましたけど、まったくのミラクル・ワールドではなくて、現実世界の延長、想像力の王国として描く手法は、盲点と言うか奥の手と言うか、古臭いけど新しいという感じがします。CGの使い方なんかも抑制的で、実写を補強する程度なのが良い。言うなれば、大人が、童心に帰ってではなくて、大人のまま楽しむことができる。そういう意味での大人のファンタジー。逆に言ったら子供たちに支持されるのかどうかはわかりませんね。

 ただ、一般論、とまでは言えないかもしれないけれど、この手の想像力の豊かな女の子(レスリー=アナソフィア・ロブ)って、活発で溌剌とした子、というよりは、(どちらかというと)病弱だったりして控え目な子、という先入観があるんですよね。彼女がスキューバ・ダイビングのエッセイを読み上げたときも、実際の体験ではなくて、何かの病気で手術かなんかをするときに、酸素吸入器を付けられた、その時に彼女に浮かんだ妄想、という設定なんじゃないかって思った。だから後で男の子(ジェス=ジョシュ・ハッチャーソン)に、あれは想像だと打ち明けたときも意外だとは思いませんでしたし、それどころか難病物の伏線かなあ、だとしたら嫌だなくだらないなと、思ったのです。

 この「予想」は外れましたが、したがいまして、彼女に死が到来したことは残念でした。彼女の死(というエピソード)から、涙を絞り取ろうという気配がないのはよかったですけど。彼女にだって輝かしい未来があったはずなのだから、男の子の成長の糧みたいにまとめられてしまうのは、残酷だと、少し思います。

 またここへ至る前のエピソードが良かったのですよ。大好きな先生に美術館へ誘われて、隣の家に住むレスリーを誘わないジェス。ただ仲の良い友達なだけなら絶対誘うわけでしょうけど、これはジェスが彼女を異性として意識していたから、ほのかに想う気持ちが芽生えていたから、ということですよね。好きな女性と好きな女性を勝ち合わせるわけにはいかない、つまりこれは少年の中の「男心」の芽生えを描いている、と言えるわけで(家へ帰っていくレスリーの後姿を、いつもとは違った様子で見入るジェス、という展開がこの前にありましたね)。

 美術館も、彼の目の前には無限の世界が広がっている、と感じさせる装置でありましたし、彼の周りにいつもいる大人が、ふとしたきっかけでそのガイド役になる、なんて描き方も、そうありうべき世の中のあり方を描いている、という感じでとても良かった。

 ですので、私にとっては、レスリーの死は要らなかったかなー、という感じです。逆に言うとこの語り手は、こういうエピソードをこそ必要としたのでしょうね。

80/100(08/02/18見)

(評価:★4)

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