コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] レインマン(1988/米)

これほどアメリカ社会の大切な価値観を教えてくれる映画も珍しい。ホフマンの独り善がりな演技をクルーズの熱演が支えた。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







****警告! 完全なネタバレ。でも謎解き映画じゃないから読んでも差し支えない、かな?****

この映画の愛すべき点を、ネタバレを気にせずいくつか挙げてみました(ネタバレ申告制度は便利ですね)。この映画を好きな方は一緒にそーそーと頷いていただきたく、嫌いな方にも認識を新にしていただけたら嬉しいという訳です(順不同)。

1.伏線:冒頭シーン、チャーリーの会社の事務所で、イタリア語で電話しているガールフレンドのスザンナ。輸入車がランボルギーニであることと併せて考えると、後段で彼女が「あなたは周りの人すべてを利用する」と彼を責める理由がわかる。うまい。

2.伏線:十数年ぶりに故郷に帰ったチャーリーが、初めてスザンナに父との訣別の経緯を話す。「こんな話聞くの初めてね」と彼女に言われ、ポロリと少年時代のレインマンの想い出について語る。ほんの十数秒のシーンだが、これがないと後の話、レインマン=レイモンドが生きないわけで、これもうまい。

3.日米共通?:弁護士から父の遺言の内容を聞かされ、興奮するチャーリーが「今ごろあいつは地獄におちて、こちらを見上げて大笑いしてるに違いない(If there is a hell,sir,my father's in it,and he is looking up right now and he is laughing his ass off!)」と言う。やっぱり天国は上の方にあって地獄は下の方にある?

4.漫才:往年の米漫才コンビ、アボット&コステロの古典的ネタ、「一塁手はダレだ?」をこの映画で初めて見たが、実におかしい。これがジョークだと理解できず、いつまでも自問自答を繰り返すレイモンドに、チャーリーが「君のはアボット&アボットだ」と突っ込むシーンで吹き出した。

5.コント?:初めて泊まるホテルで、デザートがない、ベッドが違う、本棚がない、本がないと駄々をこねるレイモンドに、「ほら、ぶ厚い本だ、いっぱい字が書いてあるぞ」と電話帳を渡すチャーリー。それを真面目に読んで、翌朝初対面の人の電話番号を暗記しているレイモンドに大ウケ。

6.コント:スザンナに「あなたは、レイモンドや、私や、他のみんなを利用している!」と責められ、「俺がレイモンドを利用している? おいレイモンド、俺はあんたを利用しているか?」と聞くチャーリーに「ああ」と絶妙な返事をするレイモンド。

7.ディスコミュニケーション:ルールや儀式に固執するレイモンドを、力ずくで従わせようとして何度か失敗したチャーリーは、理屈で彼を説き伏せようとする。でも彼には理屈も通じない。この映画ではそんなシーンが何度か繰り返されるが、中でも傑作は、「雨の日は外出しない」というルールで一日中モーテルに足止めをくらうことになったチャーリーがふと思いついて、「レイ、お前もシャワーを浴びるだろ? シャワーを。これは雨と同じじゃないか? 少し濡れるだけだ。どうだ?」と聞く。レイモンドに「もちろんシャワーは風呂場にある」と答えられ「これで話はおしまいか(That's the end of that conversation)」とチャーリーがため息をつくところ。

8.感動の瞬間:チャーリー「俺は“レイモンド”と発音できなくて“レインマン”と言ったのか?(Was I tryng to say,“Raymond”and it came out,“Rain Man”?)」、レイモンド「そう。“おかしなレインマン”(Yeah.“Funny Rain Man”)」、チャーリー「あんたか?あんたがレインマンなのか?(You?You're the Rain Man?)」・・・・・・この映画にケチつけるつもりはまったくないんだけど、レイ・モン(ド)の方が、間にnの音が入るレイ・ン・マンより、ちっちゃい子にとっては発音しやすくないか、どう考えても?

9.勝負!:ラスベガスに乗り込むとき、まず時計を質に入れて金を作り、服屋に入ってスーツを新調、靴屋でピカピカの靴を買って、最後に床屋で髪型をビシッときめ、一分の隙もない姿でエスカレーターを降りてくるレイモンドとチャーリー。かーっこいーっ!

10.兄弟でダンス:レイモンドにダンスを教える羽目になるチャーリー。自ら女性役になり、レイモンドと一曲踊るシーン。微笑ましく、印象的。それだけに、踊り終わって「なかなかダンスうまいじゃないか」とばかりにレイモンドに抱きつこうとして、「あー」と拒絶の悲鳴を上げられてしまうシーンが、一層せつない。

11.口ぐせ:いつも紋切り口調の反応を示すレイモンドの口ぐせは、“It's three minutes to Wapner.”“Uh-oh”“Yeah”など幾つかあるが、決まって絶妙なタイミングで飛び出し笑いを取るのが“I'm an excellent driver.”

90点/100点(00/12/08)

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (13 人)鎌倉ルパン トシ ぱーこ[*] イライザー7 Myurakz[*] Pino☆[*] tat べーたん じぇる KADAGIO[*] ハム[*] アルシュ[*] ハイズ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。