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[コメント] グリーン・デスティニー(2000/米=中国)

不自然な吊りを許すか?(又は私は如何にして偏見を捨てて「臥虎藏龍」を愛すようになったのか)
cinecine団

「どんな映画が好き?」と問われると「カラテ映画以外なら見る」と答える。カンフー映画、武術映画、マーシャルアーツ映画…、どう呼ぶのかも分らないし区別もつかないが、このタイプの映画を見るのは苦痛なのだ。

武術映画は観客の想像力を信用していない。緩急のない画面には直接見せたい物だけを映し、伝えたい事は全てストレートに説明する。格闘シーンと格闘シーンを繋ぐ合間で、説明的なセリフで語られるストーリーは平板で添物でしかない。これは良い悪いではない。その映画に於いての優先順位が違うだけだ。ダンスの様なアクションシーンに何の関心もない者は、派手なアクションシーンが最重要である武術映画にとって良い観客ではない。

しかし『グリーン・デスティニー』が始るとすぐにわかる。カットのテンポ、画面のサイズ、ちゃんと普通の映画のなのだ。「あぁ、これなら大丈夫かも」と思いはじめた頃にアクションシーンがやってくる。しかもワイヤーアクション付きで。達人たちは宙を舞う、どう見ても「見事に空を飛ぶ」のではなく「上手に吊られてる」状態で。『マトリックス』で跳躍した人間の動きをワイヤーアクションで見せた数年後に、何故フワリと浮く不自然極まりない飛行シーンを見せられるのか?伝奇映画にリアリティを求めるほど不粋ではないつもりだが理解不能。もうアクションシーンがありませんようと願いつつ見ていくうちに、やっと気がつく「これはミュージカルだな」と。ダンスのようなアクションシーンは実はダンスなのだ。アステアだって飛ぶんだから、そりゃ中国人だって飛ぶよな〜。そう思うと回転数が多かったりして非現実的な動きの方が嬉しくなってくるから不思議だ。危ない所だった。もう少しで「ミュージカルって急に歌ったり踊ったりするなんて不自然、笑っちゃう」と言う方々の仲間入りするところだった。

(評価:★4)

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