[コメント] 告白(2010/日)
たとえば悪意不在という悪意
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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このストーリーがエンタテインメントとして成立しているという時点ですでにリアルではありえない。用意された舞台装置もキャラクターも「おとな」の論理で構築され、R-15の条件で観るものの多くが了解可能なものとなっていることもリアルとは言えないだろう。しかし、敢て複数の語り部を設定することで、限られた視点でのリアルを積み重ねる。そうすることで人工的なリアルが出現する仕組みが巧みだと思う。
このフィルムは観るものに様々な文脈での読解を許容する。だからこれを答えだというつもりはないけれど、僕にとっては悪意不在の意味だった。薄ら笑いを浮かべながら他者を傷つけるものは、その矛先が自分に向くことなど考えてもいない。価値や評価の消されてしまった世界にあってさえ、想像力の欠如は罪なのだ。でも、そんな説教じみたこと言いたくない。だからこその聖職、教育者の許されざる復讐劇であり、なーんてねと最後に言わせるバランス感覚なのかな。
今も子どもたちの近くにいる僕の気持ちとしては、このフィルムをR-15たらしめているおとなたちの為の暗いカタルシスの部分をすべて削って子どもたちにも見てもらいたいと思う。
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