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[コメント] ランブル・フィッシュ(1983/米)

ともあれコッポラは創造的な作家だ。『ワン・フロム・ザ・ハート』の翌年にこのような作品があるのだから。「雲」「スモーク」「夜の路面」の映画性に対する自覚の表明としてのモノクローム撮影。べたべたのメロドラマでさえある物語を鋭角的な画面で語るバランス感覚。
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**ネタバレ注意**
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この映画でのミッキー・ロークに対するあるいは不適当かもしれない私の第一印象は「なんだかジョン・ライドンに似ているなあ」というものだった。そこからこのロークを、ライドンのルックスと知性ならびに(パブリック・イメージとしての?)シド・ヴィシャスの脆さを併せ持ったキャラクタ、などと云ってはさすがにこじつけが過ぎるだろうが、しかしこのロークがジェームズ・ディーンマーロン・ブランド、あるいはポール・ニューマンらの「ナイーヴな不良」像を一部に受け継ぎつつも「七〇年代後半」を確かに経た現代性を獲得しえているという指摘であれば、それは幾分か正当なものであるように思われる。また、視覚と聴覚に欠陥を抱えているという設定にしてもカリスマ性と同時に生命力の乏しさも感じさせるダルな演技にしても「彼岸の人」モーターサイクル・ボーイの造型に貢献しており、その登場シーンから「ゆるやかに死につつあること」をよく表現している。その意味でこの結末は予め不可避のものとしてある。ロークは決して好きな俳優ではないが、だからと云ってすべてをコッポラの功績に帰してしまっては公平さを欠くだろう。

(評価:★4)

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