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[コメント] 大学の若大将(1961/日)

シリーズ1作目が一番完成度高いのはほとんどの作品で共通。本作も然りです。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本シリーズは主人公が大学生とサラリーマンの二つの系統に分かれるが、実質的にその中でやっていることは同じ。特に大学シリーズの方は一種のパラレルワールド化しており、名前も含めてキャラクタもやってることも全く同じだが、別個の物語として描かれているのが特徴といえるだろうか。だから若大将は決して年を取らないし、それぞれ一つのスポーツに打ち込んでいると考えれば良かろう(でないととんでもないスポーツマンであって、凄い浮気性になってしまう)。

 その第一作が本作だが、第一作というだけあってフォーマットの全てが詰められていて、テンポも良いので、単体の作品として考えるなら、かなり水準が高いと言えよう。

 スポーツに打ち込み、音楽もこなして喧嘩も強い。ジョークを良く解し、友人の深刻な問題は身を張って突っ込んでいく…まるでスーパーマンだが、それが全然嫌味になってないのが加山雄三の偉大さとも言えようか。確かにこの時点で演技がこなれているとは言えないが(実際加山は前年に大学を出たばかりでデビューしたばかり)、鷹揚とした人柄が画面を通しても伝わってきて、演技云々でなく、その存在感だけで充分と言った感じ。

 それにそんな加山雄三を取り巻く人物が芸達者な人ばかりなので、それらの人達がなすサイドストーリーが一々はまってる。ややステロタイプな人物像が多いとはいえ、小さな物語が重なるに連れ、最終的な盛り上がりへと持っていく手法は本作で既に完成されている。  シリーズを通して一方的なライバルキャラとなる青大将こと田中邦衛演じる石山新次郎(名前で分かるが、石原慎太郎のもじりである)も、この話が一番良い奴だったしね。ラストの盛り上がりに重要な役割で登場してる。

 ところで本作は実はリメイクで、戦前の松竹映画『大学の若旦那』の現代版リメイクなのだとか。機会あればそちらも観てみたいものだ。

(評価:★3)

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