その昔東京で大学生活を送っていた頃、大塚の映画館で観た。併映は『フェイドＴＯブラック』。今思うと野郎ばかりでデニス・クリストファー特集という随分地味な２本立てを観に行ったものだがそれはさておき、正直細かいところは忘れていたところもあったが、その爽やかな後味が今でも十分に健在と言えるものだったところはやはり嬉しかった。

ツボはやはり最後のレースシーンだが、そこに柱となる４人のサイドストーリーが絶妙に絡み合ってくるところなどはやはり脚本の妙であったし、加えて、これは今回初めて知ったのだが、ラスト１周の競り合いがワンカットで捉えられているところは新鮮な驚きであった。考えてみるとこれはオーソドックスな手法ではあるが、変に役者の表情を捉えるカットが挿入されるよりずっと緊張が持続するし、また興奮もするというものだ。この辺りの冷静な演出ぶりは、さすがサンフランシスコでのカーチェイスをキメまくったピーター・イエーツ。まいった。

あと、これは余談だが、当時と今では役者のランクが激しく変動しているところも面白く観た。けれど、これがたとえ現在の物語であっても、やはりこのキャスティングで観たいと思わせるところがよい。こういったところが、地味ながらも時代を超えて愛される秀作である由縁だと改めて思った。