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[コメント] 若い人たち(1954/日)

会社員あるある大事典な細部テンコ盛りの面白さ
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







掃除当番の争奪とか、女子の争いとか、やたら麻雀好きの面々とか、扇風機で吹き飛ぶ小切手とか、扇風機禁止令とか、奇妙な支店長の妻(長岡輝子)とか、女子行員いるのに芸者呼んじゃう幹事とか、オートレース場への出張とか。当時は土煙あげてバイク走らせていたんだというのも発見。

映画的にいいなと思ったのは、組合の会議が終わった後、各々の行員の帰路を並置する件で、どんな社交家でも同僚のことこれほど詳しくなれないもの、人それぞれが表出されていてとても効いている。

後半の乙羽信子濡れ衣の一件はさすがよく出来ており、憎々しい副支店長の神田隆と間抜けな内藤武敏がとてもいい。病弱な岸旗江さんもいい。結婚したら退職という酷い時代だったのだ。内藤に待っているわと告げる乙羽は、大人しい女は時に大胆の感想がある。

組合話になるのは、主催が従業員組合だったからなんだろう(集客を当て込んだ企画でもあるのだろう)。話が辛辣に振れるのもこれにて担保されているが、まあもう拝めない光景なんだろう。撮影好調でベストショットは殿山泰司の工場の前で行水している子供たち。伊福部の音楽もいい。

(評価:★4)

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