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[コメント] ブラック・スワン(2010/米)

ベス(ウィノナ・ライダー)を主人公にした方がテーマが分かりやすかったと思うが、それはあまりにも『レスラー』そのままか。
Master

**ネタバレ注意**
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アカデミーを取ったナタリー・ポートマンは確かに熱演であり、彼女を評価するにもやぶさかではないのだが、リリー(ミラ・クニス)が代役に指名されてから最後の「白鳥の湖」一連のステージでのエピソードはやはり置いて行かれた感が否めない。

今敏監督の『パーフェクトブルー』との共通項が良く指摘されるが、一連の事件の「帰結」について本作はあまり納得の行く形にしてくれてはいない。オカルト風味を押し出すのは結構であるが、それなら最後のステージから飛ぶシーンでもっと崩れるように落ちるか、ラストシーンで二ナの腹部に出てくる血痕に周りの人間は全く気づかないという演出にするかして、その「幻想」の「正体」を提示する形にしても良かったのではないかと思う。

個人的には、本来この話の主人公は二ナと入れ替わりに表舞台から去るベスの方が、「奪われる」というシチュエーションをもっと効果的に表現できたのではないかと思う。ただ、それは現実の世界の話という要素に至るまであまりにも『レスラー』チックになってしまうため、そういった方向性は避けたのだろうとも思う。

そういったわけで、正直あまりしっくり来てはいない。面白い作品であることは間違いないが、絶賛するほどでもないと思う。

(2011.5.14 TOHOシネマズ上大岡)

(評価:★4)

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