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[コメント] ツィゴイネルワイゼン(1980/日)

微妙に個性のずれた主演四人の違和感が全編を引きずり、それに間断のない効果音がかぶり、恐怖が継続していく。『CURE キュア』はこの映画の申し子と断定したい。レコードまで共通している。そして、どちらの映画も絶品です。
いくけん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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原田芳雄大楠道代藤田敏八大谷直子が夫婦役だと記憶していましたが、見事に逆でした。上の取り合わせの方が自然だと思いますが、わざと不安定な感じにしたのでしょう。この微妙な不安定感を恐怖への伏線に使うところが鈴木清順監督の上手さです。

それにしても、終始、背筋がぞっ〜とさせられながら観ました。大谷直子の妖艶さに当てられながら。後半なんか彼女が映るだけで恐かった。一人三役(?)の微妙な役どころを、演じ分けていました。凄い。見直しました。惚れました。

あと、女の股グラから、カニが出てくる場面と、大楠道代が水密桃を食べる音が忘れられません。軽いトラウマになっています。まさに、映像と音声が傑出した映画。

追記です。清純がこの映画を撮ったのは57歳のときでした。奇跡的にも瑞々しさが温存されていて、ご本人と映画ファンにとって幸運でした。突出した才能があるのに会社上層部に理解されず、日活を解雇された監督はお気の毒でした。そして、本当に自分の作りたい作品製作のためには、作家や音楽家と違って、まず多額の資金調達から始めなくてはならない映画監督は、何と因果な商売なんだろうか。そして彼らを最大限リスペクトします、私。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)けにろん[*] chokobo[*] 太陽と戦慄 sawa:38[*] モモ★ラッチ[*] ぱーこ[*] ina

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