ＣＧというものが登場したとき、手を叩いて喝采した私がいたことは確かだ。その存在が当たり前のものとなった今、ＮＹの路面が草で覆われ、街中を鹿が跳ね回るという衝撃なはずの映像を見せられても、さほど興奮を覚えない、これも現状。映画作りに費やされる労力の５割方はこの方面に割かれているのだろう（と少なくともこの作品に関しては思える）から、なんとももったいない。昨今のハリウッドの大作は、まったくつまんないわけじゃないけど、ちっとも面白くないという作品のオンパレードだ。

　そんなわけで、粗探しをするハメになる。主人公が家族を失い、閉鎖されたＮＹに取り残される（という物語前段の）過程を描くよりも、徐々に仲間を失い、愛犬との絆を深めていく（という物語本筋の）様を詳しく描いてくれた方が、孤独の深さも浮き彫りとなり、メッセージも明確、ラストの自決という結末へスムーズに誘導することになって、こんな私でも楽しめる作品になり得たのではないか、と思わされた次第。（←粗探しなのだが）

　も一つ言うと、あのダークマン？らの造形が、どの映画で見たのかは忘れたが、既視感があったのも冴えなかった原因の一だ。

　さらに言えば、ひと度＜敵＞と分類されると、そいつらが、われわれが美徳とするような価値観と同じ価値観を発揮した行動を見せても（この映画で言えば＜勇気＞など）、相変わらず、ビクともせず、たじろぐことなく敵のままである、てなあたりの描写が気になったりした。

75/100

※どこで見たか思い出した。ハリーポッターだ（闇の魔法使いのボルデモート卿）。