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[コメント] ボビー(2006/米)

そこそこの演出手腕で誤魔化しているが、これは賛否が分かれる映画だと思う。☆4.2点。
死ぬまでシネマ

R.F.K.の主張内容に対する賛否で、と言うのではない。(ホプキンスの台詞での楽屋落ちの是非で、と言うのでもない。) この映画は明らかにひとりの政治家(故人)を讃え(英雄視し)、宣伝する映画だ。題名からして『ボビー』なのだから当たり前と言えば当たり前なのだが、それ(映画が政治家の片棒を担ぐこと)に対する批判はあってしかるべきだと思う。

群像劇も個性的な役柄を名優たちが演じる事で誤魔化せているが、良く観るとあの事件以外はさしたる物語はなく映画的高まりも今ひとつだ。R.アルトマン監督や『マグノリア』(P.T.アンダーソン監督)・『クラッシュ』(P.ハギス監督) と較べると群像劇の出来の差がはっきりする。この映画には人物(の人生)が交錯する工夫が足りないが、しかしそれは小細工をしていないとも言える。そして、…私は最終的にこの映画をよしとする。

ひとびとは、そこに、居た。(登場人物の多くは創作上の人物だが、それがよりメッセージを一般化している。)

これは政治がひとびとの暮らしの中にあったし、あるのだ、というメッセージ映画なのである。R.F.K.(政治家)は市民に語りかけていたし、市民は為政者を選び出そうとしていた。R.F.K.は生きていたし、ひとびとの前で殺されたのだ、死んだのだ。これはR.F.K.のプロパガンダであると同時に、民主主義の再生を願うプロパガンダ映画である。私はこの映画をよしとする。

(評価:★4)

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