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[コメント] プラダを着た悪魔(2006/米)

チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』を超え、この『プラダを着た悪魔』が"私の乙女的バイブル"堂々の第1位となりました。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この作品、全く期待していなかったのに、鑑賞後にはなんだかツヤツヤテカテカになっていたづんです。若干後味は悪かったんですが(後で触れます)なんかこう・・・「うおーー!!明日から頑張るゾ、ア・タ・シ!」って言う活力みたいなものが沸々と湧いてきちゃったりした訳です。その源が何なのかっていうと、やっぱり目の眩むような衣装や小物だったり、美の追求に余念がない女性たちの向上心だったり、何かを極めようとする姿勢だったり…。人それぞれアイデンティティとするものは違っていても、自己顕示とは全く違う、自分の在り方を追求するバイタリティー。それがもうオープニングからエンディングまで始終バーン!バーン!て私にぶつかってくるんです。それを全身全霊で受け止めていると、いつの間にか自分までがテカテカしてくる感覚。これはスゴイとしか言いようがない。

オープニングで流れる「女性たちの朝の身支度」からもう背筋がシャキっとなり、ミランダ(メリル・ストリープ)の登場シーンでは背中がゾクゾクするほどの高揚感。自分もあの場にいるような気にさえなってくる臨場感もあって、すごく引き込まれました。音楽も良かったんじゃないかなーと思います。

メリル・ストリープはもう素晴らしい!鬼上司としての圧倒的な存在感は、彼女だからこそ醸し出せるものだったと思うし、あとこれは個人差はあると思うんですが、アン・ハサウェイって結構日本人の好む顔じゃないかと思うんですよ。お人形さんみたいな感じで。それも作品に良い影響を与えてたんじゃないかと思います。

ただ、私的に気に入らないところもあって。例えばアンディ(アン・ハサウェイ)がオシャレ音痴からファッションに開眼してどんどん美しくなっていくという件。そこは観ていてとても爽快だし良いんだけど、ただ、根底にある"アンディが本来志望している職業"についての描き方が弱い。本来ジャーナリストを目指しているっていうところがあまり伝わってこないので、恋人のネイト(エイドリアン・グレニアー)が彼女の仕事を応援しないところなんかは単に嫉妬のようにしか見えないし、ラストでアンディが「ミランダガール」をアッサリ辞めてしまう辺りではあからさまに頭上に「ハテナマーク」が浮かび上がってしまいます。ファッションセンスはなくても、勉強が出来て可愛らしく、意外にとんとん拍子で上に昇っていくアンディを観ていて、中盤辺りまではそれでも彼女を応援しながら観ている自分がいるんですが、あのラストで一気に現実に引き戻されてしまいました。何事も器用にこなす彼女には「努力」の欠片も見当たらない事に気づいてしまうんです。特に努力一筋で昇りつめてきたであろうエミリー(エミリー・ブラント)も同時に観てきた観客にとって、あのラストは大打撃。エミリーの全てだったパリコレ同伴の座を奪ってまでミランダの下に残ったのなら、それこそ悪魔にでもなってミランダと同じ道を極めてほしかった。・・・というのが個人的意見。

それでもやっぱり最後に見る事の出来た"ミランダの笑顔"にはそれらを相殺する程の重みが感じられ、後味の悪さも最小限に抑えられたのではないかと思います。

目を皿にして画面に食い入ってもまだまだ観足りない豪華なファッションは、DVDを買って一時停止してでも観たいと思えるものばかりだし、ニューヨーカーのコーディネートもお手本になるし、でもそういうオサレな映画は数あれど、自分のモチベーションを上げていける面があるってのが、この作品の大きな魅力の一つだと思います。働く女性だけでなく、働く男性にだって充分共感出来る映画なんじゃないでしょうか。

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06.11.08 記

(評価:★5)

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