[コメント] エリザベスタウン(2005/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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全然ストーリーの焦点が定まらない映画だった。冒頭の大失敗で、主人公は自殺まで考えたということがまず念頭に置かれるが、そこから父親の突然の死、不思議な女性との恋など寄り道を続け、いったいどこがポイントなのか不鮮明なまま話は進んでいく。スーザン・サランドンのタップシーンだったり、『あの頃ペニー・レインと』のケイト・ハドソンと共通性を感じるキルスティン・ダンストのキャラクター、子供を静かにさせた家爆破のビデオ(これは本当に爆笑したぞ)など、部分的な面白さはあったが、そういったことをストーリー上で集約できなかったのが厳しかった。公開前に20分カットしても、焦点の無さは改善できなかったようだ。
ラストシーンで“命”という言葉が出てくるところを見ると、主人公は父親の死を見つめ、自らはまだまだ生きていくという決意にたどり着いたようにも取れるが、それにしては主人公の感情描写をおろそかにしすぎた。生きる決意を再確認する話なら、もっと喪失感を漂わせたりして、ラブストーリー的な部分はすべて削除。今のままのライトな雰囲気を大事にするなら、失業から始まる必要はなく、ラブストーリーに絞ればいい。そのあたり、メリハリが必要だった。
キャメロン・クロウの音楽への偏愛ぶりはよく知っているので、その音楽に注目をしながら映画を観ると、ライトで心地よいミュージッククリップとして楽しむことはできる。よって飽きずに観ることはできたが、『あの頃ペニー・レインと』の失敗バージョンという印象が拭えなかった。
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