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[コメント] パッチギ!(2004/日)

映画の楽しさが満ち溢れている。
ちわわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







因みに僕は京都人。だからこの映画の採点には向かないかもしれない。 何しろ、僕が子供のころから眼にしていたシーンが映画になんどもうつる んだもん。それだけで、もう、たまらない。

京都は、歴史がある街だけに、一方でいろんな問題を抱えた街でもある。 歴史的景観保存の問題とかいろいろあるんだけど、 朝鮮人問題や同和問題は、僕自身考えざるをえないときがあった。 鴨川沿いの通称「0番地」。子供の頃、橋のうえから土手沿いにバラックが ぎっしり密集しているのを、何気に見ていた。不思議とこの日本にあって、その光景が 奇妙に思わなかった。それくらい、もう彼らはその土地の人だった。 この映画が撮られたときにはバラックはすでに無くなっている。(生活は大変だったらしい) だからここでのシーンはセットと現地を いったりきたりしている。鴨川のシーンでも、実は0番地は映っていない。

塩谷とオダギリが一緒に歌うのは、万寿寺。実は京都五山の第4位に位置する重要な寺。一度消滅して、再建後今は東福寺の近くにひっそりとある。いずれに しても主人公は東山のふもとに住んでいる(電話を掛けるシーンとか主人公が 行動するシーンの多くは川の東側)わけで、川の西側の彼女のところへ 「乗り越え」なければならない。

最後の決闘シーン。出町柳の地下鉄の駅が見えたりするのはご愛嬌。(そういえば 新京都駅もみえとったな) 実は鴨川を渡るための「石の道」(日本語ではなんていうのだろう。川の上を飛び跳ねて渡ることができる)ができたのは割と最近で60年代には当然なかったはず。 「新しい京都」も映画の見せ場に使おうとするところなんて心憎い。

「歴史」は無視できない。GOの主人公なら「そんなものくそ食らえ」というかも しれないが、実はそれでは何の解決にもならない。在日朝鮮人と日本人と垣根は 今も存在しているし、過去の歴史は簡単にぬぐいされない。でも「乗り越える」のは 不可能ではない。人々の間にある「今この場」を大切にすること。 それ以外に方法はない。 それを語りかけてくれている、すばらしい映画だった。

オダギリははじめていい役者だと思った。挿入歌「悲しくてやりきれない」もうたって いたな。塩谷、高岡、沢尻ら若手の役者たちはこれからも応援していきたい。 フォークルもいいな。

(評価:★5)

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