[コメント] どぶ(1954/日)
「どぶ」は始めから汚れきっていたわけではない。かつて澄みきっていたはずの水は、その寛容さゆえに人為によっていつしか腐臭を放ち、人びとはその薄汚れたさまを他人ごとのように傍観し忌み嫌い、そして遠ざけるのだ。「どぶ」を生む張本人が我々である。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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人が生きるために吐き出し続けなければならない欲望という汚濁を、黙って受け入れるのが「どぶ」だとしたら、まさにツル(乙羽信子)こそが「どぶ」である。
途中にはさまれるコミカルな演出には気が休まるが、乙羽のエキセントリックな芝居が多少鼻につく。
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