コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] パンドラの箱(1929/独)

数多の男に貢がれようが、堕ちて食いモノにされようが、ルルはどこまでもルルでしか在りえない。少女と娼婦が矛盾なく同居するその強烈な個性が、ルイーズ・ブルックスが発散する奔放なオーラと同調する時、演技という枠を越えて伝説となる。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







・・・それは多少オーバーな言い回しかもしれないけど、ルイーズ・ブルックスの表情、一挙一投足がただの演技とは到底思えない。ルイーズが自らの感性に憑かれて描き出したルル像を、もはや他の人間が演じることは不可能なのかもしれない。と、それ位ルイーズはルルであり、ルルはルイーズそのものだった。それにしても、ルイーズ(=ルル)がおくる流し目、上目遣いはヤバ過ぎです。打算とはまた違うからこそ、より危険に輝く。

数年振りの再見は紀伊国屋レーベルのクリティカル・エディション。大幅に尺が増えて画質も格段に向上したのはウレシイけど、妙に間延びしている印象を少し受けた。確かに話は分かり易くなったし、舞台裏のシーンや船内や霧のロンドンなども見ごたえあるのだけど、それ以外のトコロで引き締まってないというのか・・・まあ、それを補って余りあるのがルイーズの存在なんですけど。ともあれ、含蓄に富んだ物語もすこぶる面白いし、彼女の存在を目に焼き付けるだけでも千金の価値あり、です。

最後に。世の災厄を封じ込めたパンドラの箱。案外その中身は「鏡」だったのではなかろうか、と思う。

(2007/6/6 132min版を観て書き直し)

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。